書評

林真理子さんの不倫実名小説「奇跡」あらすじ・感想。パリや京都を舞台にした有名歌舞伎役者の元妻の愛

何十年にもわたって話題の本を書き続けている林真理子さんが、
なんと不倫を題材にした実名小説を書かれるということで、
とても気になっていたのですが、今回読了したので感想を書いていきます。

 

梨園の妻・田原博子さんとパリを舞台とする世界的写真家・田原桂一さんの恋

主人公は梨園の妻、博子さん。
梨園の妻といえば、歌舞伎役者の妻として関係者に挨拶したり、
跡継ぎを生み、その子がちゃんと芸をつないでいけるよう導いていく、
ものすごい重圧の立場です。

そんな博子さんが、お互い既婚者の時に出会い、恋をしていくお話です。

 

京都の祇園祭で出会い、京都北山のチャペルで再会。

出会いがとてもロマンチックです。

林真理子さんは、世の中には「恋の庶民」と「恋の貴族」がいる
という風に書かれていましたが、博子さんと田原さんは恋の貴族。

出会いは京都の祇園祭。
再会は京都の教会。

どちらも博子さんは和服姿で、
京都のチャペルは田原さんの設計。

小説か映画かと思うほどロマンチック。

博子さんはチャペルでの再会の時、お子さんはまだ3歳で、
梨園の妻として一生を捧げるつもりだったそうなのですが、
田原さんと何度か複数で食事をしたりした後、
お互いに気持ちが抑えられなくなり、道ならぬ恋に進んでいきます。

 



秘密の恋がはぐくめた理由。夫との別居など。

梨園の妻は忙しそうだし子供は小さいし、
どうやって秘密の恋を勧めていたんだろうと思いましたが、
お子さんにはベビーシッターさんがいて、
また、旦那さんは女性関係が激しく、なかなか家に帰ってこなかったそうです。

なので、関係が進むにつれて、ついに博子さんは田原さんと一緒に暮らし始めます。

しかも、一緒に住んでいることをカムフラージュするために、
田原さんはなんと、フェイクの家まで借りていて、
毎月30万円の家賃を払っていたそうです!

さすが恋の貴族・・!

 

博子さんの離婚成立直後に田原さんのガンが発覚。

 

お子さんが15歳を迎える年に博子さんは旦那さんと離婚。

お互い独身になって、晴れて結婚できることになりますが、
なんと離婚後一か月で田原さんのガンが発覚します。

 

ガンの治療を終えて、半年後に結婚しますが、
まもなく再発し、結局結婚後一緒に暮らせたのは3年間ほどだそうです。

 

 

ですが、博子さんが「私ほど愛された人はいないと思う」というほど
二人は濃い日々を過ごされていました。

儚かったからこそ余計に美しい思い出として残るのかもしれないです。

 

「奇跡」の内容を読んでみての感想。口コミ。

 

博子さんと田原さんの恋について。映画のような恋。

なんというか、林真理子さんの「恋の貴族」という言葉がふさわしいと思います。

京都、パリ、箱根、自家用ジェット、クルーズ、梨園・・・。

恋以外でも、庶民とは別世界の暮らしが繰り広げられていて、
まさに夢みたいな「お話の世界」という感じです。

そんな世界をのぞかせてもらって「すごいなー」と感心している感じです。

 

また、田原さんと博子さんの写真を見ると、
どれも田原さんが本当に幸せそうな笑顔です。

本当に愛する人を手に入れて
本当に幸せなんだろうなと思いました。

 

 



 



博子さんの息子さん(清之助くん)について。

 

博子さんは、不倫中、田原さんと会うのに、
なんと毎回息子さん(作中では清之助君)を連れて行ったそうです。

しかも、途中からは3人で一緒に住んでいます。
(そして前述のカムフラージュの家を借りています。)

 

一般的に言えばありえないことなのですが、
私はこの本を読んで、
博子さんからの清之助君への愛はもちろん、
田原さんから清之助君への愛を感じました。

 

芸術家の田原さんは、
歌舞伎役者という表現者の誠之助君に対して、
芸術家としてできる限りの愛情をもって
誠之助君の表現の幅が広がるような経験をさせてあげていると感じました。

田原さんは、愛している博子さんが愛している清之助君を
本当に愛していたんだろうなと思いました。

 



 

登場人物のモデルについて。舅さんはまさかの片岡仁左衛門さん!

 

奇跡の登場人物は、主人公の二人以外は実名ではありません。
主人公以外についても調べてみました。

 

着物も着こなす「絶世の美女」、田原博子さんは千葉のお嬢様

主人公の田原博子さんは、
会社を経営するご両親のもと、千葉で生まれ育ったそうです。

日本舞踊をずっと習われていたそうなのですが、
お母さまが着物が好きで、
踊りの発表のたびに新しい着物をあつらえてくれたそうです。

博子さんは最初歌舞伎役者の奥さんとして活動されていましたが、
着物の着こなしは慣れていらっしゃったんだろうなと思います。

 

そして100人の中から二人しか採用されない三越の受付嬢として就職後、
歌舞伎役者の旦那様と結婚されたそうです。

「絶世の美女」というのは、ドレス姿の博子さんを称したセリフだそうです。

インスタグラムなどを拝見すると、
博子さんは美女ですが、いつも笑顔なのが素敵だと思います。

 



パリを拠点にした世界的写真家、田原桂一さんはカルティエのプロデュースも。

田原さんはパリで30年以上活躍されている世界的写真家です。

ヨーロッパでは、写真家に対するリスペクトや、
ギャラが日本とは桁違いだそうです。

田原さんはパリではかなり有名で、
街を歩いていたらしょっちゅう声をかけられるそうです。

日本でも写真が芸術としての地位が上がるといいなと思います。

また、空間プロデュースもされていて、
カルティエの全店舗のプロデュースも任されたそうです。

そんな世界的芸術家が自分だけを見てくれるって、
一体どんな世界なんだろうと思ってしまいます。

私だったら優越感を感じてしまうだろうなと思います(^^)。

 



 

お舅さんのモデルはなんと、人間国宝・片岡仁左衛門(片岡孝夫)さん!

全部読み終わってから知ったのですが、
博子さんのお舅さんのモデルはなんと、片岡仁左衛門さんです!

片岡仁左衛門さんといえば、昔片岡孝夫さんとして活躍されていました。

歌舞伎には全然詳しくない私ですが、
片岡孝夫さんの名前は知っていました。

すごく穏やかな顔の歌舞伎役者さんだなと思っていました。

その片岡仁左衛門さんだとは!

そして片岡仁左衛門さんは今は人間国宝なのですね。

 

 

この投稿をInstagramで見る

 

@softcreamlifeがシェアした投稿

 

 

この投稿をInstagramで見る

 

@softcreamlifeがシェアした投稿

 

すごく優しそうです。

片岡仁左衛門さんは、小学校の同級生の奥様一筋だそうで、
素敵だなと思います。

 



 

元旦那さんのモデルは片岡孝太郎さん。

 

元旦那さんのモデルは、片岡孝太郎(たかたろう)さん。

博子さんと離婚後、デザイナーのかたと再婚されたそうです。
「奇跡」には、結婚後もたくさんの人と女性関係を持ったと書かれていました。

歌舞伎の世界はまだまだそういう世界なのかなと思いました。

 

息子さんのモデルは片岡千之助さん。

息子さんのモデルは、歌舞伎役者の片岡千之助さんです。

ものすごくかっこいいです。

私見ですが、世界を舞台にする芸術家の田原桂一さんと過ごして
世の中のたくさんの芸術に触れた日々、
博子さんと田原さんと3人で過ごした日々は、
千之助さんの表現力や人としての魅力にとてもプラスに働いていると思います。

 

 



 

林真理子さんが「奇跡」を書かれた理由。

林真理子さんは、主人公の博子さんとはなんと、ママ友だったそうです。

博子さんは最初、お舅さんの片岡仁左衛門さんや、
息子さんの片岡千之助さんのために、
田原さんとのことは公にするつもりはなかったそうです。

ですが、コロナ禍になって、人はいつ死ぬかわからないから、
自分たちのことを作家の林真理子さんに書いて残してもらおうと思ったそうです。

 

博子さんと田原さんの関係はいわゆる不倫です。
そして今、かつてないほど不倫は叩かれます。

ですが、それでもあえて実名で不倫の小説を書かれた林真理子さん。

インタビューでこう書かれています。

 

今、濃密な人生、自分とは違う人生をおくる人を叩く傾向がある。私はそういう薄っぺらい風潮に挑戦状を叩きつける気概でこの本を世におくる。

これほど愛し合った男と女がいるのだ。
自分の本なのに読むたびに泣いた。泣きながら思った。
まだ世界は、美しいもので満たされていると。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92563より引用。

 

「濃密な人生、自分とは違う人生をおくる人を叩く傾向がある」

これは本当にそうだと思います。

今は、「清廉潔白」であることが求められすぎていると思います。

ですが、人に感情がある以上、
結婚相手以外に心が動いたりしてしまうのは
しょうがないことなのではないかと思います。

もちろんそうではない方がいいのだけど、
不倫している人を完膚なきまでにたたく傾向は一体何だろうと思います。

 



 

そんなにガチガチに厳しい世の中は息が詰まりそうです。

 

少なくとも、自分とは無関係の芸能人を叩かなくてもいいんじゃないかなと思います。

 

こんな空気では、人は「たたかれないこと」を一番の優先順位にしてしまうかもしれません。

それはとてももったいないことだと思います。

 

不特定多数からの意見は気にせず、
自分自身と、自分の大事な人の気持ちを一番に考えて
行動していきたいと思います。

 

叩かれるかもしれない内容を世に出すことを決意した博子さん、
書くことにした林真理子さんを尊敬します。

 

コロナによって「今あるものの儚さ」を痛感させられたので、
自分が本当に望むことをやって生きていきたいと思いました。

 

読んでいただいてありがとうございます。